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旅がもっと面白くなる!イギリス編ー2 英国王室現役の住居であるバッキンガム宮殿について探り、実際に中に入ってみよう!

もわりー

ヨーロッパ各都市の立派な宮殿を観光することは、ヨーロッパ旅行の楽しみの一つとなっていますよね。

パリに行けばベルサイユ宮殿、ウィーンに行けばシェーンブルン宮殿、スペインのグラナダではアルハンブラ宮殿など各地に魅力的な宮殿があります。

そして、イギリスのロンドンにある宮殿といえば、バッキンガム宮殿ですね。

ベルサイユ宮殿やシェーンブルン宮殿などは、かつての王家の住まいとして現在は観光用に開放され、歴史遺産として残されている一方で、バッキンガム宮殿は歴史を刻みつつ、今も尚現役で王室の建物として活躍しているのです。

今回は、バッキンガム宮殿はいったいいつから存在しているのか、これまでどのようなストーリーがあったのか、そしてどのような形で観光できるのかを一緒に見ていきましょう。

1 バッキンガム宮殿とはそもそもどんなところ?

バッキンガム宮殿ははじめは王室の居室ではなかった

ロンドンのバッキンガム宮殿と王室との関わりは、ジョージ王朝時代にさかのぼります。

1761年ジョージ3世により王妃シャーロットと子供たちの家族の家として購入されたところからはじまります。それまでバッキンガム公の所有物だった家は、クイーンの家として改築され洗練された館となったのです。

その後、あの浪費家で有名なジョージ4世が王位を継ぐと、バッキンガムハウスとして使われていた場所を、宮殿にしようという目論みがなされました。当時の建築家ジョン・ナッシュを起用して多額の費用をつぎ込み、大掛かりな改修工事を命じたのです。そして、バッキンガムハウスはU字型の宮殿へと生まれ変わりました。

しかし、結局ジョージ4世存命中には完成に至りませんでした。すでに莫大な費用がバッキンガム宮殿の改築に使われており、ジョージ4世死後すぐにジョン・ナッシュは解雇されてしまいます。

王位を継いだ弟のウィリアム4世はバッキンガム宮殿へ移り住むことに興味を示しませんでしたが、エドワード・ブロアを任命してその後も引き続き改装工事が行われました。そして、バッキンガム宮殿は中央の中庭を囲うように3つの棟が建つ宮殿の形で完成したのです。

1837年ヴィクトリア女王が即位した際に、はじめて王室の公式の住まい兼執務室として使われるようになりました。

過去の栄華を誇るパリのベルサイユ宮殿は1682年ルイ14世によって建てられ、ウィーンのシェーンブルン宮殿は、マリア・テレジア治世下1750年頃に現在残されている建物として完成しています。

こうして比較してみると、ヨーロッパの宮殿の中では比較的新しいようにも思われますが、ビクトリ女王が即位してから2022年エリザベス女王が崩御されるまで、185年もの間王室の宮殿であり続けています。ベルサイユ宮殿などの観光用宮殿になってしまった場所とは違い、バッキンガム宮殿の歴史はまだ今も続いているということは感慨深いことですね。

バッキンガム宮殿の大きさは?

ではバッキンガム宮殿の中はどのようになっているのでしょうか。

バッキンガム宮殿の敷地は、約1万坪。と言われても、ピンとこないですよね。調べてみると、国際大会のサッカー場4つが入るほどの大きさとのことです。

そして、部屋の数はなんと775部屋もあるそうです。

公式行事などが行われるステートルームが19部屋、王室とゲスト用の寝室が合わせて52部屋、スタッフ用の寝室が188部屋、オフィスが92部屋、そしてバスルームが72部屋という内訳になっています。

ではいったいこの宮殿で働いている人はどれくらいいるのでしょうか。

使用人、料理人、清掃員、配管工、庭師、運転手、電気技師などのほか、IT担当、ソーシャルメディアの担当、行事時のスタッフやボランティアスタッフなどまで合わせると、正確な人数はわからないということですが、1000人以上の人がバッキンガム宮殿で働いていると言われています。その中には住み込みで働いている人たちもいます。

バッキンガム宮殿で働くスタッフの求人はオンラインで出ることがあり、誰でも応募することができるそうですよ!?

2 バッキンガム宮殿で起きたこれまでのエピソード

長い歴史と広大な敷地面積を持つバッキンガム宮殿には、実は驚くべきエピソードがありました。そのいくつかをご紹介します。

エリザベス女王の寝室に不審者が侵入!

エリザベス女王の寝室には厳重なセキュリティ体制が敷かれているだろうと誰もが思うことですが、エリザベス女王が寝ている間に寝室に忍び込んだ者がいたのです!それは、マイケル・フェイガンという31歳のアイルランド人の男でした。

彼は、1982年7月9日、朝6時45分頃 高さ3メートルほどの壁をよじ登りバッキンガム宮殿に侵入しました。そして、排水管をつたって寝室のバルコニーに忍び込み、まさに女王の寝室を探り当てたのです。

眠っていた女王は、目を覚ますとベッドに座っていた男性をはじめはフィリップ殿下だと思ったようですが、その人が不審者だと知ってどれほどの身の危険を感じたでしょうか。

このことは、英国王室ドラマ『ザ・クラウン』シーズン4でも取り上げられました。ドラマの中では、フェイガンとクイーンが話をするシーンが取り上げられましたが、実際は女王は即座に電話で執事を呼び、部屋から出て行って話をしていないという説もあります。

この事件は、女王が住むバッキンガム宮殿のセキュリティの弱さが露見した驚くべき出来事となり、その後は宮殿のセキュリティ強化が図られました。

バッキンガム宮殿の部屋にネズミが!

バッキンガム宮殿の老朽化が明るみになった出来事もありました。

2011年5月オバマ大統領とミシェル大統領夫人がバッキンガム宮殿を訪問しました。そしてオバマ大統領とミシェル夫人の滞在中に、そのお部屋にネズミが出現したのです!

ミシェル夫人が別室で寝支度をしている間、オバマ大統領はスピーチの準備をしていました。その時に、執事が大統領に「ネズミがいます」と報告したそうです。

オバマ大統領は言いました。

「ファーストレディのミシェルには言わないでくれ」

そして、その後穏便にネズミは捕まった?ようです・・・

このことは、後に元オバマ大統領の副補佐官であったベン・ローズが2018年に出版した本 ”The World as It Is: A Memoir of the Obama White House”の中で述べられています。

ネズミ出現の体験はあまり愉快な出来事ではなかったようですが、オバマ大統領は、エリザベス女王は素晴らしい方だとおっしゃっており、最愛の祖母のように慕っていたということです。

現国王チャールズ3世はバッキンガム宮殿に住んでいない!

ヴィクトリア女王からエリザベス2世が住んだ185年の間には、幾度となくバッキンガム宮殿の改修工事や増築工事が行われています。そして現在もバッキンガム宮殿では大掛かりなリノベーションが行われており、現国王チャールズ3世はまだバッキンガム宮殿へ移り住んでいないのです。

チャールズ国王とカミラ王妃は、バッキンガム宮殿の隣にあるクラレンスハウスに20年来住んでいます。郊外のコッツウォルズの近くには、ハイグローブと呼ばれる別邸もあります。

チャールズ国王は、以前からバッキンガム宮殿に住むつもりはないと公言していたそうで、長い年月使われている豪華絢爛なバッキンガム宮殿よりも、住み慣れたご自身の住まいの方が快適だと考えているようですね。

けれど、英国君主がバッキンガム宮殿に住むということは、ヴィクトリア女王以来185年守られてきた伝統です。英国民だけに止まらず、世界中から訪れる人々もみんな、バッキンガム宮殿には王が住んでいると思っていますが、今後もはや国王の住居ではない、ということになってしまうのでしょうか?

3 バッキンガム宮殿の中に入ってみよう!

では、実際にバッキンガム宮殿の中に入って宮殿の中がどのようになっているのか見てみましょう。私はここで、先にご紹介したようなマイケル・フェイガンのようにバッキンガム宮殿への侵入をおすすめしているわけでは決してありませんよ!

このバッキンガム宮殿は、王室一家がスコットランドのバルモラル城で過ごす夏の間、観光用として一般開放されるのです。通常7月後半から9月のはじめまでの10週間です。

夏限定!バッキンガム宮殿の内部見学

2023年は7月14日から9月24日までの間、バッキンガム宮殿が一般公開されます。775部屋すべてが見学できるわけではなく、19部屋のステートルームのみです。

ステートルームは、さまざまなセレモニーや公式行事の際にロイヤルファミリーがゲストをおもてなしするお部屋です。せっかくですから、ロイヤルファミリーに招待された気分で見学してみましょう。

宮殿に招待されたゲストたちは、ホワイトドローイングルームへ入ります。白壁にゴールドの装飾がされ、豪華なシャンデリアや大きな鏡が輝くこのお部屋は、レセプションルームとして使われます。今でも、ジョージ4世の時代にジョン・ナッシュによって整えられた趣向が残されています。

そして、赤い壁に赤い絨毯が敷き詰められた謁見の間には、エリザベス2世の戴冠式で使われた王座だけでなく、ビクトリア女王の戴冠式で使われた王座も置かれています。厳かな雰囲気が漂っていますよ。

そして今年のこのバッキンガム宮殿内部見学の際に見逃せない展示があります。

2023年5月6日に行われた戴冠式で、チャールズ国王とカミラ王妃が実際に身につけていたマントや手袋が舞踏の部屋に飾られているのです。ウェストミンスター寺院から豪華絢爛な馬車に乗ってバッキンガム宮殿に到着し、バルコニーに現れた際に身につけていた衣装なのです。テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか。テレビで見た時は全く別世界の出来事のように感じた戴冠式ですが、実際にその時のマントを目にすることができるのですから貴重な経験ですよね。

また、宮殿の入り口には戴冠式の際に国王を載せた煌びやかな馬車も展示されているのでお見逃しなく!

そのほか、英国王室の絵画の素晴らしいコレクションも必見です。ギャラリーは美術館の一角のような広さで、壁中に絵画がずらりと展示されています。フェルメールやレンブラントの名作もあるので、じっくりと味わいましょう。

この見学は、日本語オーディオガイドを聞きながら回ることができます。じっくり見ていると、2時間ほどかかります。

宮殿の内部は写真撮影はできませんのでお気をつけください。

見学を終えたあとは、庭園に出ます。豪華絢爛な建物の外に、静かな緑の広大な庭園が広がっている景色は安らぎを感じます。

庭園の前には、ガーデンカフェがオープンしています。王室の居城の敷地で優雅にお茶をいただいてみてはいかがでしょうか。

庭園やカフェでは写真を撮ることもできますよ。

そして、まだ最後の楽しみが残っています。

カフェの並びにお土産ショップがありますので、是非入ってみましょう。

箱や缶にロイヤルの名前が刻まれた紅茶やショートブレッドなどのほか、王冠の飾りやティーカップなど豊富な品揃えの中からお気に入りのものを記念に購入したいですね。

夏の宮殿見学のチケットは、公式ホームページなどから予約できます。

https://www.rct.uk/visit/buckingham-palace

衛兵交代式

バッキンガム宮殿と言えば、赤い制服に黒い帽子をかぶった凛々しい衛兵たちが、音楽に合わせて行進する衛兵交代式もまた見どころのひとつですよね。こちらは、季節を問わず、月・水・金・日の11時から行われます。以前は夏の間は毎日行われていましたが、今は週4日だけなのでお気をつけください。

また、王室の公式行事などで行われないこともありますので、必ずウェブサイトで事前に確認をしましょう。雨などの悪天候の日も残念ながら行われません。

https://www.householddivision.org.uk/index.php?action=changing-the-guard-calendar

世界中の観光客がこの衛兵交代式を見ることを楽しみにしていますので、この時間バッキンガム宮殿前は非常に混み合います。宮殿の正門前やヴィクトリア女王記念碑像のあたりは、行進がよく見えますが、とても混み合いますので早めに行って場所を確保しましょう。また混雑するところではスリが多発しています。こちらもくれぐれもご注意ください!

クイーンズギャラリー・ロイヤルミューズ

バッキンガム宮殿の近くには、王室の絵画コレクションを集めたクイーンズギャラリーがあります。こちらは年間通してオープンしており、豪華なアートの数々を堪能することができます。このギャラリーにもショップが併設しているので、夏の期間ではなくてもこちらでロイヤルグッズのお土産を入手することができますよ。

そして、クイーンズギャラリーの隣には、ロイヤル・ミューズと呼ばれる王室の厩舎があります。といっても、そこに馬がいるわけではなく、王室の公式行事などで使われる豪華な馬車や車両などのコレクションが展示されています。

実際にチャールズ国王の戴冠式で使われたダイヤモンド・ジュビリー・ステートコーチもそこに展示されています。ただし、夏のバッキンガム宮殿見学が公開されている時期は、バッキンガム宮殿の入り口に移されています。

この馬車は、2012年のエリザベス女王在位60年をお祝いしたダイヤモンド・ジュビリーの記念に作られた馬車です。最新型の馬車はエアコンも完備しており、とても快適だということです。

***

今年のバッキンガム宮殿の公開初日に、朝のBBCニュースが取材をしていました。その際、宮殿の担当の方に見どころを聞いたところ、煌びやかな宮殿内部を体験してもらいたいことはもちろんのことですが、宮殿がいかにきれいに保たれているかというところにも注目してもらいたいとおっしゃっていました。185年の歴史を経ても尚、輝かしい宮殿を保持するために、中で働いている人たちの並々ならぬ整備の努力と誇りが感じられる言葉は印象的でした。

ABOUT ME
もわりー
もわりー
日本→ウィーン15年→現在ロンドン在住です。
書くこと・なにかをつくり出すことが好きです。

記事を読んでいただいた方をステキな旅へと案内できたら、そんな思いで書いていきます。

どうぞよろしくお願いします。
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