ランランLang Langピアノコンサート in ロンドン Apr2025 - マジックにかけられたような時間

ランランLang Langは、チケットがすぐに完売してしまう世界的なピアニスト。
ロンドンでピアノコンサートがあると知った時には、すでにチケットは完売していました。
しかし、コンサートの2日前、たまたまインターネットでコンサート情報を目にし、チケット状況をクリックしてみると、わずかにチケットが売りに出されていたのです!
キャンセルされたチケットの再販だったと思われます。
幸運にもそのチケットを入手でき、ランランのコンサートへ行ってきました!
そして、すっかりランランのピアノに魅せられてしまい、ランランってどんな人なんだろうと改めて興味がわきました。
今回は、そのコンサートの感想と、世界で活躍するランランについて書いていこう思います。
1 ランラン Lang Lang ピアノコンサート Apr 2025 in ロンドン
コンサートは、イースター休暇が始まる前日の夜、ロンドンのバービカンホールで行われました。

客席は満席。
ロンドンでは、クラシックコンサートを見る際に正装をしてくる観客はほとんどいません。
そんなウィーンとは違うその雰囲気にはじめは戸惑ったものですが、今はすっかり慣れました。
でもやっぱり、ちょっとお気に入りの服を着て、普段とは違う気持ちで出かけたいものですよね。
会場が暗くなると、黒いスーツに身を包んだランランが登場しました。
1)コンサート 前半
拍手がなりやみ、ランランの演奏が始まると、空気は一転。
スタートはフォーレ作曲のパバーヌ pavane。
この曲は、フルートとオーボエが主旋律を奏でるオーケストラの演奏を聞き慣れていましたが、ピアノの編曲もあったのですね。
明るいメロディではなく、どこかセンチメンタルな雰囲気の旋律が、ランランが奏でるピアノの音とともに心にしみわたりました。
ランランの笑顔の挨拶と拍手に続いて、シューマンのクライスレリアーナが始まりました。
8曲からなるこのピアノ曲集を、ランランは一気に弾き続けました。
途中、ランランの思いがこもった演奏に感極まって、歓声と拍手が起こってしまいましたが、冷静に静まるのを待って演奏を再開するランラン。
シューマンが終わると、拍手喝采に包まれ、ステージの上ではランランが笑顔でお辞儀を繰り返しました。
2)コンサート 後半とアンコール
20分の休憩の間は、バービカンのテラスに出て外の空気を吸い込みました。
水辺で憩える穏やかな空間には、カモさんまでお散歩していました。

つかの間の癒しの時間を過ごし、後半に備えます。
そして再び会場に戻り、コンサートのつづきを待ちます。
後半は、ショパンのマズルカの演奏からはじまりました。
マズルカは、ショパンの祖国、ポーランドの民族舞踊曲。
少し切ない雰囲気の曲から、心踊るような明るい曲まで、さまざまな情景が浮かびます。
そして、ついランランのピアノに合わせて体を揺らして踊りたくなってしまった自分がいました。
6曲にわたるマズルカが終わると、歓喜の拍手がわきおこりました。
その高揚感をさらにかき立てるように、最後の曲 ポロネーズF sharp minor OP44がはじまりました。
左手の重低音が圧倒的に心に響きわたり、まるでピアノ演奏ではなく、オーケストラを聞いているのではと錯覚するような迫力のある演奏でした。
曲が終わると、観客はみんな立ち上がり、拍手の嵐が鳴りやまず、アンコールへ突入しました。
スローな曲が終わると、まだ納得できないと言わんばかりの拍手が鳴り響き、ランランはアンコールの2曲目、ドビュッシーの『月の光』を弾き始めました。
ランラン独特のスローテンポで、これまで知っていたものとは違った雰囲気の月の光が輝いているようでした。
会場の喜びにあふれた拍手を浴びながら、笑顔で丁寧にお辞儀をするランラン。
なんだろう、この感覚。なんだかマジックショーを見た後のように似ている、そんな気持ちになりました。
2 ランラン Lang Lang の経歴と音楽
こんなマジシャンみたいなピアノリサイタルを披露してくれたランランって、どんな人なのだろう、改めてもっと知りたくなりました。
1)プロのピアニストになるまで
ランランは中国の瀋陽(しんよう Shenyang)で音楽家の両親のもとに生まれました。
3歳でピアノをはじめたランランは、5歳で地元のピアノコンクールで優勝、ソロでリサイタルも行いました。9歳で北京の音楽学院に入って本格的にピアノを勉強します。
13歳の時に、日本で行われたジュニア向けのチャイコフスキー国際コンテストで優勝し、15歳で渡米してフィラデルフィアの音楽院に入ります。
そして、17歳の時に大きな転機が訪れました。
アメリカイリノイ州で夏に行われる音楽祭のガラコンサートで、出演予定であったアンドレ・ワッツが急病で出られなくなり、代わりにランランが出場することになったのです。そこで、シカゴ交響楽団と一緒にチャイコフスキーのピアノコンチェルトを弾いたランランは、高評価を受け、ピアニストへの道が開けたのです。
それから、カーネギーホールでデビューコンサートを果たし、フィラデルフィアオーケストラと共に北京ツアーを周りました。ロンドンのBBCプロムスコンサートでもロイヤルアルバートホールのチケットが完売になるなど、一躍世界的に有名なピアニストとなったのです。
2)ランランLang Lang の世界的な活躍
ベルリンフィルやウィーンフィルなど、世界の名だたるオーケストラとも共演するようになりました。
そして、ランランはノーベル賞授賞式でのコンサートやFIFAワールドカップなどさまざまな世界的なイベントでも演奏をしてきました。
特に、2008年北京オリンピックでの開会式での演奏は、世界中から注目を浴びました。
最近では、2023年イギリスのチャールズ国王戴冠式のコンサートでも、ランランの名前がプレイヤーに並びました。
そんな世界中の著名人の前での演奏をしてきたランランですが、そのような硬いイメージの演奏会だけに登場しているのではありません。
最近では、エドシーランの中国でのコンサートにピアノ演奏で登場したり、パリで行われたブラックピンクのローズのコンサートでも共演を果たしています。
ランランのピアノは、年齢やジャンルを問わず評価されているのですね。
3)子供たちへの音楽教育
世界を舞台に活躍しているランランですが、私生活はどのような感じなのでしょうか。
ランランは、2019年にピアニストのジーナ・アリス Gina Aliceと結婚しました。
ドイツと韓国の血筋を持つジーナ・アリスは、ランランと同様幼い頃からピアノをはじめ、主に生まれ育ったドイツで活躍するピアニストです。
結婚式は、華々しい世界的ピアニストカップルにふさわしく、パリのベルサイユ宮殿で華麗に行われました。
2021年には息子が誕生しています。
英国の雑誌のインタビューで、ランランは語っていました。
息子にピアノを強要するつもりはなく、自分から選んで道を進んでもらいたいと。
ランランは、幼い頃父親とともに北京へ移住し、音楽学院に通っていました。その時に、ピアノ教育に熱心だった父親との間にいさかいもあったようです。
そんな経験も影響しているのでしょうか、ランランは子供たちへの音楽教育にも熱心に取り組んでいます。
子供たちに、楽しくクラシック音楽を学んでもらいたいという思いから、世界中の学校を回ってピアノ教育に力を入れているそうです。
子供たちに親しんでもらいたいという思いをこめて、ディズニーとの共演も行っています。
そんなランランの想いを胸に、これからもランランのピアノ音楽を追いかけていこうと思うファンは、世界中にいるのです。
今度はどんなランランマジックにかかるのか、次回が楽しみです。