旅がもっと面白くなる! ウィーンの町が見渡せるカーレンベルグとグリンツィングのホイリゲへ行ってみよう

旅行で観光地を訪れると、町が見渡せる高いところに上がってみたくなりますよね。
ウィーンの町でも、シュテファン寺院の塔やプラター観覧車、ドナウタワーの展望台など街を一望できる場所はありますよ。でも、せっかくですから、少し足を延ばして、ウィーン郊外にある小高い山、カーレンベルクへ行ってみましょう。
そのカーレンベルクの眼下には、ブドウ畑が広がっています。そのあたりは、ワイン生産地としても知られているのです。カーレンベルクから美しい景色を堪能したあとは、ホイリゲと呼ばれるワイン居酒屋がある、グリンツィングへご案内します!
ワインが苦手な方も是非ご一緒してください。おいしいブドウジュースもあります。
グリンツィングでのお食事を楽しみましょう。
1 カーレンベルクってどんなところ?
ベルクとはドイツ語で山という意味です。
標高484メートルのこの山は、ウィーンの森とも呼ばれているエリアで、緑に囲まれた自然豊かな場所なのです。
1)カーレンベルクから町の眺望を楽しもう
カーレンベルクの展望台からは、ウィーンの町を流れるドナウ川、ウィーンのシンボルであるシュテファン寺院やプラター観覧車などウィーンの町を遠くまで見渡すことができます。
そして、このウィーンの森とよばれる緑の森の中には、ブドウ畑も広がっているのです。

そう、ウィーンでワイン作りが行われていることはご存知ですか?
フランスやイタリアのワインは有名ですが、パリやローマの大都市では作られていません。けれど、ウィーンの郊外に広大なブドウ畑が広がり、首都近郊でワインが作られているところは、オーストリアくらいなのだそうですよ。
2)レストランとカフェ、結婚式などのイベントも
カーレンベルクには、カフェやレストランもあります。

また、結婚式やセミナーなどのイベントも行われています。
レストランでは、週末のブランチ、母の日や父の日の特別なお食事などうれしいメニューがそろっています。ウィーンの町を眺めながら、大切な人と一緒に特別なお食事を楽しむことができたらステキですね。
https://www.kahlenberg.wien/app/skyline
お腹が空いていない人は、コーヒーやケーキで休憩することもできますよ。
爽やかな風に吹かれながら、テラスでお茶とケーキの贅沢な時間を過ごしてみてもいいですよね。
https://www.kahlenberg.wien/app/cafe

3)展望塔 シュテファニーヴァルテ
カーレンベルクには、22mの高さの展望塔シュテファニーヴァルテがあります。
ヴァルテWarteはドイツ語で見晴台という意味です。ではシュテファニーは?
この塔にはちょっと面白い歴史があるのです。
シュテファニーは、1889年ウィーン南部のマイヤーリンクで自殺を遂げたルドルフ皇太子に嫁いだ、ベルギー王家出身のオーストリア皇太子妃の名前です。
この塔は、1887年当時の有名な建築家フェルディナンド・フェルナーとヘルマン・ヘルマーによってつくられました。当時、この辺りにはツァーンラートバーン鉄道Zahnradbahnが走っていたのです。このシュテファニーヴァルテの横に、最終駅がありました。
この鉄道ができたことにより、以前からあったケーブルカーが廃止されることになり、解体されたレンガを使って、このシュテファニーバルテがつくられました。
しかし鉄道の老朽化、第一次世界大戦の敗戦による予算不足で、この鉄道は1914年に廃止されました。
シュテファニーヴァルテもその後クローズされていましたが、2018年展望塔として再びオープンされることになったのです。
夏期(5−10月)土日祝日のみ、展望塔に上ることができるようです。

2 カーレンベルクへの行き方
1)公共交通機関のバスで行こう
カーレンベルクへは、公共交通機関を使って気軽に行くことができます。
ウィーンの中心部、カールスプラッツKarlsplatzを通っている地下鉄4号線U4に乗って、終点ハハイリゲンシュタットHeiligenstadtまで行きましょう。カールスプラッツからは約13分です。
そこから、38A番のバスに乗ります。乗り場は駅を出て目の前にバス停があります。
さまざまなバスが走っていますので、38Aの乗り場を探しましょう。
このバスは、ハイリゲンシュタットが始発です。25分弱でカーレンベルクに到着します。
すべてがカーレンベルクへ行くわけではないので、注意が必要です。
Himmelstrasse行きやWagenwiese行きはカーレンベルクまで行きません。
Kahlenberg行きまたはCobenzl Parkplatz行きに乗りましょう。
バスの時刻表は、下記から確認できます。

2)ブドウ畑を眺めながらハイキングを楽しもう
カーレンベルクの近くには、ブドウ畑が広がっていることはお伝えしました。
このように美しい景色の中を、簡単なハイキングを楽しみながらカーレンベルクまで上ることもできるのです。
片道1時間強のウォーキング、歩きやすい靴と動きやすい格好であれば問題ないでしょう。
ウィーン市が推奨するハイキングコースもあります。しっかりとハイキングを楽しみたい方は、こちらも是非ご覧ください。
シティハイキングルート ー カーレンベルクhttps://www.wien.gv.at/english/leisure/hiking/path1.html
こちらのウィーン市推奨ルートは往復コースになりますが、今回はカーレンベルクまでの片道コースをご案内します。
スタート地点は、市電Dの終点 ヌスドルフNussdorfです。
市電Dは、国立オペラ座近くのカールスプラッツKarlsplatz駅や、ウィーン大学近くのショッテントアー Shottentorから乗車できます。カールスプラッツからヌスドルフまでは、約30分です。
ヌスドルフで降りたら、ツァーンラードバーン通りzahnradbahnstrasseを歩いて、ベートーベンの散歩道 Beethovengangと呼ばれる小川沿いの小道に入りましょう。
かつてベートーベンはこの辺りに住んでいたことがあり、この道を好んで散歩をしていたと言われています。

ベートーベンの小道をまっすぐ進んで行くと、ベートーベンの胸像があります。

そこからさらに少し進むと広い通りに出ます。そこでそのまままっすぐシュライバーバッハ川沿いのWildgrubgasseを進んでカーレンベルクへ行くこともできます。ウィーン市のハイキングルートはこちらになっています。
しかし、私はここで右側のカーレンベルガー通り Kahlenberger Strasseを進みます。
こちらの方が道が広いので歩きやすく、またわかりやすいのです。
しばらく歩くと、ブドウ畑が広がってきます。

この辺りまで来ると、だいぶ疲れてきますよね。
緑に囲まれたブドウ畑の景色に癒されていると、なんとワイン居酒屋さんが見えてきます!
*Mayer am Nussberg
https://www.mayeramnussberg.at/

ここは、ブッシェンシャンクと呼ばれるワイン居酒屋で、温かい食事の提供はなく、ワインとコールドプレートのおつまみやパンが楽しめます。
*Heuriger Sirbu
http://www.sirbu.at/

ここはレストランもありますが、ビュッフェ形式です。
どちらも、ここにあるワイン農家さん独自のブドウ畑で作られている自家製ワインを提供しています。
緑に囲まれて、ワインを片手に少し休憩してみるのも良いですね。
アルコールが苦手な方やお子さまには、ブドウジュースもありますよ。
どちらも木曜から日曜のみの営業、ランチはやっていないようですので、営業時間を確認してから行ってみてくださいね。
さて、あともう一息です。そのまま山の上を目指して歩きましょう。

ひたすら、カーレンベルク通りを進むと終点カーレンベルクに到着です!
お疲れさまでした!
さて、ここからウィーンの町の景色を堪能しましょう。
3 グリンツィングでワイン居酒屋へ行こう
カーレンベルクを堪能したら、38A番のバスに乗って帰りましょう。
そろそろ、ちょっとお腹がすきませんか?
まっすぐ街中に戻る前に、少し寄り道をして行きましょう。
38Aのバスに乗って17分ほど、グリンツィングGrinzingで降ります。
ここは、ホイリゲと呼ばれるワイン居酒屋が集まっており、夕食どきになると観光客で賑わう場所なのです。
1)グリンツィングのホイリゲ
バス停から徒歩5分以内のところに、いくつかホイリゲがありますので、好きなところに入ってみるのも良いですが、ここでもいくつかご紹介しますね。
*ツム・マルティン・セップ Zum Martin Sepp
https://zummartinsepp.at/
コベンツル通りCobenzulgasse にあるホイリゲ。
*アルター・バッハ・ヘンゲル Alter Bach Hengl
http://www.bach-hengl.at/index_e.html
サンド通りSandgasseにある大型ホイリゲ。
大型バスで観光客がよく訪れ、いつでも賑やか。

*モーリー Maly
https://heurigermaly.at/
サンド通りSandgasseにあるホイリゲ。
どこのホイリゲも、夏場はガーデン・テラス席が人気です。
2) ホイリゲでのオススメメニュー
ワインはテーブル席で注文します。
どこのホイリゲにも、自家製のハウスワインがあります。
赤ワインもありますが、オーストリアでは赤ワインよりも白ワインの品種の方が多く作られています。
特にワインの品種にこだわらなければ、まずはハウスワインを注文してみましょう。
4分の一リットルのワインが、マグカップのようなグラスに入ってサーブされるところもあります。

このグリンツィングのホイリゲでは、テーブル席でメニューを見て、席で注文するところが多いです。ホイリゲによっては、カウンターへ行って注文するところもあります。そこに実際に置かれているメニューから自分たちが食べたいものを選び、そこで支払いを済ませて、トレーにのせて自分の席まで運びます。
何を注文すればよいか迷ってしまう方には、いくつかおすすめをご紹介しましょう!
*ウィンナーシュニッツェル Wiener Schnitzel
ウィーンに来たら必ず食べたいカツレツです。
仔牛のカツレツが有名ですが、豚肉もあります。

*豚肉のロースト Schweinsbraten
柔らかくローストした豚肉は、ホイリゲでの定番メニューの一つです。
汁もつける? と聞かれたら、これは肉汁のこと、是非with soup (mit Saft) でたのみましょう。

*オーストリア風フライドチキン Backhendl
日本語で言うとフライドチキンなのですが、オーストリアではバックヘンデルと言う呼び名で知られています。パン粉でパリッと焼き上がった柔らかくてジューシーなチキンを是非試してみましょう。

そのほか、サラダやスープも一緒に注文してみるといいですね。
3)楽士たちと音楽を楽しもう
おいしい食事とワインに夢中になっていると、店内に賑やかな音楽が聞こえてきます。
ホイリゲでは、バイオリンとアコーディオンの楽士たちが各テーブルを回り、それぞれにお客様からのリクエストに答えて音楽を奏でます。
お酒の酔いも手伝って、みんなで賑やかに歌いながら、楽しい時間が流れます。
さて、次はこっちにやってきますよ!
何の曲をリクエストしますか?
定番の、ヨハン・シュトラウスの”青きドナウ(ブルードナウ)”でもいいですし、日本の曲も知っているみたいですよ。例えば、”上を向いて歩こう”は陽気でいいですよね。
リクエストに答えてくれたら、5〜10ユーロほどのチップを渡してくださいね。
***
さて、すっかり楽しい一時を過ごしましたね。
帰りは、再び38Aのバスに乗ってハイリゲンシュタット駅に出ても良いですし、ここから38番のトラムに乗って、ショッテントアーShottentor駅まで出ることもできます。
ショッテントアーからは、地下鉄U2号線に乗り換えることができます。
また、ホイリゲはグリンツィングだけではなく、ウィーンの街中やオーストリアの他のワインの産地にもあります。
オーストリアの人たちは、家族や友達とホイリゲを訪れ、楽しい時間を過ごすのです。
オーストリアを訪れた際は、是非ワインと音楽の楽しいひと時を味わってみてくださいね。