旅がもっと面白くなる!オーストリア編ー2 ウィーンのクリスマスマーケット7つを一気に巡ります

もわりー


クリスマスが近づくと、どういうわけかウキウキした気持ちになりませんか?

お店に並ぶ賑やかなクリスマスのデコレーション、町を彩る華やかなイルミネーション、あちらこちらから流れてくる軽快なクリスマスソングのおかげでしょうか。

私がウィーンに住んでいた頃、町の各地でクリスマスマーケットがはじまると、寒い外を歩いていてもつい顔がほころんでしまい、足がマーケットへと向いていました。

今日はウィーンの町を一緒に歩きながら、効率よく一気に7つのクリスマスマーケットをのぞいて行きます!

では、みなさんウィーンのシンボルと言われているあの大聖堂の前へご集合ください!

1 シュテファン大聖堂のクリスマスマーケット

迷わずに辿り着けましたか? そう、集合場所はここシュテファン大聖堂です。

ウィーンで一番華やかな歩行者天国ケルントナー通りとグラーベン通りが交わった広場に建つ大聖堂です。町の中心にズッシリと立つこの建物、見上げると首が痛くなるほどの大きさに驚きますね。

大聖堂の中は広々とした荘厳な雰囲気が漂っています。高さ約137メートルの南塔へは階段で登ることができます。そして、北塔にはプンメリンと呼ばれる大きな鐘楼があり、ここへはエレベーターで上がれます。1月1日新年が明ける0時、イースター、クリスマスなど限られた時にのみ、この鐘の音が響き渡るのです。

大聖堂の外にはフィアカーFiakerと呼ばれる観光馬車の乗り場もあります。パカパカと馬の蹄(ひずめ)が響く街、それがウィーンなのです。

そして、この大聖堂の前でクリスマスマーケットが開かれています。

まずは大聖堂を囲むように並んだ屋台に沿って、歩いてみましょう。

クリスマスオーナメントやキャンドルなど、お気に入りの品が見つかるでしょうか。

2 アムホーフとフライウングのクリスマスマーケット

では、先に進みましょう。

シュテファン大聖堂の前から伸びている歩行者天国グラーベン通りを進みます。通りには大きなシャンデリアのようなクリスマスのイルミネーションが並んでいますね。

通りの中心に立っている塔は三位一体(さんみいったい)像、17世紀に流行したペストが終焉した記念に立てられたペスト記念塔です。

突き当たりのルイヴィトンのお店の右側、ボグナー通り(Bognergasse)を進むとアムホーフ広場に出ます。はい、2つ目のクリスマスマーケットです。

ここは中世の頃から市場が開かれていた場所です。今でも週末になると、アートとアンティークのマーケットが開かれます。そして、クリスマスの時期はこのクリスマスマーケットが開かれるのです。

私は以前ここで、ラベンダーを使った飾りを購入しました。このマーケットではそんなオシャレなお店に出会えることが嬉しいですね。

ラベンダーのクリスマスツリーだなんて、素敵ですよね。

アムホーフのクリスマスマーケットのウェブサイトに、マーケットの屋台を建てるところから始まり、賑やかなクリスマスマーケットを紹介している動画がありました。ここでマーケットを開く人も、訪れる人も、みなさん楽しそうにしており、ウィーンのクリスマスマーケットの雰囲気がとてもよく映し出されていますので、是非覗いてみてください。

Galerie

アムホーフから先ほど来た道をさらに少し先に進むと、もう1つ別のマーケットが見えてきます。

ショッテン教会の前にあるフライウングという名の広場で開かれている、”アルトヴィーナー クリスマスマーケット Altwiener Christkindlmarkt ” 日本語に訳すと、古き良きウィーンのクリスマスマーケットというところでしょうか。

名前の通り、ここは伝統的な雰囲気が残されたマーケットで、手作りの温もりが感じられる繊細なクリスマスオーナメントも素敵なのです。そして、ステージではトランペットや弦楽器の演奏、合唱なども行われています。

こちらもウェブに公開されている動画がありますので、是非ご覧ください。

3 クリスマスマーケットではプンシュを飲んで温まろう!

ここから、フェルステルパッサージュFerstel Passageと呼ばれるアーケードに入ります。宮殿の中に迷い込んでしまったように感じる重厚な造りのショッピングモールは、実際フェルステル宮殿に続いています。宮殿と言っても、現在はイベント会場として使われているところで、もともとは1860年にフェルステル氏によってオーストリア国立銀行と証券取引所として建てられました。

アーケードの中には噴水もあり、とても素敵な雰囲気です。

しばらく外を歩いてきたので、体が冷えてきましたね。

そういう時は、クリスマスマーケットには欠かせないプンシュを飲みましょう

プンシュとは、いわゆるパンチのことなのです。フルーツパンチって聞いたことありますよね? 本来、パンチというのは、蒸留酒、お砂糖、レモン汁、 お水または紅茶と香辛料の5つの種類を混ぜて作るインドが発祥の飲み物ですが、このプンシュは、フルーツやキャラメルなどで味付けされているホットカクテルのような飲み物なのです。

ドイツのクリスマスマーケットでは、グリューワインが有名です。ワイ ンにシナモンやローリエ、クローブなどの香辛料とオレンジやアップルなどの果汁、それに お砂糖を入れて作るホットワインです。オーストリアでもグリューワインも飲みますが、やはり、イチゴなどベリー系のフルーツやオレンジ、ココナッツなどを使ったプンシュが人気なのです。

お子様やアルコールが飲めない方も安心してください。ノンアルコールのキンダープンシュもありますよ。

このプンシュを注文すると、マグカップに入って渡されます。マグカップ代としてあらかじめ余分に支払いをし、後でカップを返すとその分のお金が返ってくるシステムです。

きちんと返却してお金を受け取ることも良いですが、このマグカップを集めることはクリスマスマーケットの楽しみの一つでもあるのです。カップの模様は、それぞれのマーケットのオリジナルの柄になっており、毎年少しずつ変わります。プンシュを飲むと、ついついかわいいマーケットオリジナルのマグカップも持って帰りたくなってしまうのです。

そのようにして、私の家にはさまざまなマグカップが集められてきました。ハート型やブーツ型などのかわいいカップもあります。これらはウィーンに住んでいた頃の素敵な思い出の一つです。

次のマーケットに着いたら、プンシュを飲んで温まりましょう!

アーケードを抜けると、ヘレンガッセHerrengasseに出てきました。

ウィーンの有名なカフェの一つ、カフェツェントラルCafe Zentralの前を通り真っ直ぐ進みます。前方に円形の広場が見えてきました。そこが次のマーケットです。

4 ホーフブルクのクリスマスマーケット

ここはホーフブルク、王宮です。

彫刻が施された立派な白い建物が、まるで鳥が翼を広げて覆っているような形で建っています。ここはミヒャエル広場と呼ばれています。

このマーケットの正式名称は、the k.u.k. Weihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクトードイツ語でクリスマスマーケットという意味です)と言います。k.u.k カーウントカーと読みますが、これはドイツ語のkaiserlich und königlich 帝国と王国を意味しています。中世以来、オーストリアではハプスブルク家が実権を握り領土を拡大していき、広大なハプスブルク帝国を築きました。しかし、その領土拡大によって多民族国家となっていき、ハンガリーの民族運動が勃発しました。そしてハプスブルク帝国は、ハンガリーを別の国家として認めることとなったのです。その時に、ハプスブルク帝国とハンガリー王国という言い方をする、オーストリアーハンガリー二重帝国が誕生しました。

その当時、オーストリアかハンガリーの帝室・王室に出入りが許可されている業者が得ることができた特権としての称号が、k.u.k カーウントカーだったのです。オーストリアでは今でも、k.u.k カーウントカーを名前の冒頭につけているホテル名やレストラン名を見かけることがあります。

歴史の説明が長くなってしまいましたが、マーケットを見てみましょう。

屋台も白い屋根が並び、なんだか高貴な雰囲気が漂っています。小規模なマーケットですが、私のお気に入りのクリスマスマーケットの一つです。

以前このマーケットで買ったスノードームは、今でも私の部屋に大切に飾っています。

5 マリアテレジア広場のクリスマスマーケット

では、王宮の敷地内を歩いて行きます。

ミヒャエル広場からグリーンのドーム屋根の建物の中へ入ってみましょう。

ここには、フランツ・ヨーゼフ皇帝やシシーの愛称で知られる皇妃エリザベートのお部屋が見学できる”皇帝の部屋 Kaiserapartments”や”シシーミュージアム”ハプスブルク家の銀食器が展示された”銀食器のミュージアム”があります。

そのままさらに真っ直ぐ進むと、ウィーン少年合唱団が歌うミサで有名な王宮礼拝堂の前を通り、大きな広場に出ます。英雄広場 Heldenplatzです。馬にまたがる像は、プリンツ・オイゲン公の像です。17世紀末、オーストリアの脅威となっていたトルコとの戦いで、見事トルコを撃退した英雄です。

さて、大きな門をくぐると広い環状道路リンク通りに出ました。

通りを挟んだ向かい側に向き合って同じ形の建物が建っていますね。美術史美術館と自然史博物館です。どちらも中に入ると吹き抜けの階段が広がっており、とても素敵なのです。

美術史美術館にはブリューゲル、デューラー、ルーベンスなどの名作も展示されています。また自然史博物館には化石や動物の剥製などの展示があります。どちらもゆっくり訪問したいところです。

この建物の間の広場の中心にズシリと鎮座している像、誰だかわかりますか?

マリア・テレジアの像です。ハプスブルグ帝国の発展に大いに活躍した女帝です。

この広場はマリア・テレジア広場と呼ばれています。

ここでも賑やかなクリスマスマーケットが開かれているので覗いて行きましょう。

そろそろ少しお腹もすいてきたのではないですか?

クリスマスマーケットでは、食べ物の屋台も並んでいるので見てみましょう。

食欲をそそる香りが漂うチーズがかかったシュぺッツェレ(ショートパスタのようなもの)や、大きなお鍋に並んだお団子のようなクネーデルなど、オーストリアの郷土料理を試してみましょう。

それから是非試していただきたい食べ物が、ランゴシュと呼ばれる薄く広げた揚げパンです。ハンガリーの伝統料理ですが、ウィーンのクリスマスマーケットの屋台にも登場します。かなり大きいですが、ホクホク温かく、あっという間に美味しく食べられますよ!

6 市庁舎前のクリスマスマーケット

王宮とマリアテレジア広場の間を走る大通りリンク通りは、リングの輪のように走る環状道路です。ここをぐるりと一周する黄色い観光トラムも走っているので、時間があったら乗ってみたいですね。

今回は一周はしませんが、少しトラムに乗ってみましょう。

ウィーンの公共交通機関は、地下鉄・トラム・バス全て共通です。観光の際は、24時間や48・72時間有効なチケットを購入しておくと便利です。はじめに使用する時だけ打刻機で刻印して使ってください。驚くことにウィーンでは一つ一つの乗り物に乗車する際に、改札を通ることがありません。抜き打ちで検札が来た際に、きちんと有効なチケットを提示できない場合には、罰金を支払うことになりますのでご注意くださいね。

さて、進行方向左側に立派なギリシャの神殿のような建物が見えてきました。これは国会議事堂です。正面にある像は、アテナ女神像。大きな噴水もありますね。

あっという間の乗車区間でしたが、もう降ります。

ここは市庁舎、ドイツ語でラートハウスRathausです。この市庁舎前の広場で行われているクリスマスマーケットが、ウィーンで一番規模が大きく有名なマーケットなのです。

正面に見える市庁舎は、19世紀後半に建てられたネオゴシック様式の建物です。

その前の大きな広場にズラリとたくさんの屋台が並んでいます。市庁舎のライトアップ、見事ですよね。私が初めて目にした時は、まるでディズニーランドのシンデレラ城みたい!と大袈裟に思ったものです。

夜は特に多くの人で賑わっているので、はぐれないように注意しましょうね。スリにも要注意です!

このマーケットでは、ハートが木に飾られていたり、メルヘンのおうちのようなライトアップがあったりと子供から大人まで心踊るような雰囲気に包まれています。マーケットの中には、小さなトラムまで走っているのですよ。

市庁舎の正面に立つ大きなクリスマスツリーにも注目してください。

こちらは毎年、オーストリアの各州から運ばれてきます。今年はザルツブルグ州、来年はチロル州などと交代で回ってくるようです。高速道路をこのような大きなツリーを載せて走ってくるのですから、すごいことですよね。

7 シェーンブルン宮殿のクリスマスマーケット

もうすっかりマーケットを堪能したかと思いますが、最後にもう一ヶ所お連れしたいところがあります。

今度は地下鉄に乗って移動しましょう。市庁舎前にRathausという地下鉄の駅があります。そこはU2、2号線が走っています。一度国立オペラ座がある中心地の駅カールスプラッツKarlsplatzまで出て、そこから4号線、U4に乗り換えます。

行き先は、シェーンブルンSchönbrunnです。

ウィーンに行ったら見どころの一つとして欠かせない場所といえば、シェーンブルン宮殿ですよ!

ハプスブルク家が夏を過ごした離宮です。ハプスブルク家の狩猟を目的に建てられたそうです。この辺りは緑豊かな自然を堪能できる立地なのです。17世紀末レオポルト1世により建築が始められ、孫のマリアテレジアの時に完成しました。

中心地のカールスプラッツからU4に乗って、約10分ほどでシェーンブルンの駅に到着します。

駅を出て宮殿の外壁沿いを歩いて行くと、左側に立派な宮殿が見えてきます。黄色で彩られた外観は、テレジアイエローと言われています。マリアテレジアが好んだ色だからということですが、金色にするお金がなかったからという説もあるとか・・・

シェーンブルン宮殿の敷地は広大です。動物園や植物園などもあるのです。そして、建物の反対側には美しい庭園が広がっています。また観光客向けのコンサートも開かれています。音楽の都ウィーンで、モーツアルトやヨハン・シュトラウスの演奏を生で聞いてみてはどうですか。

シェーンブルン宮殿には1400室ものお部屋があると言われており、そのうち40部屋の見学が可能です。マリアテレジアが過ごした時代のお部屋やフランツヨーゼフ皇帝とエリザベートが過ごしたお部屋のほか、大広間やナポレオンの部屋もみることができます。

さて、入り口の門を入ってからもうしばらく歩くと、ようやく宮殿の前に広がるクリスマスマーケットに辿り着きます。

大きなクリスマスツリーを囲うように、楕円形にマーケットが広がっています。

聖歌隊の歌声にも癒されますね。

ここで、クリスマスの時期に食べられるお菓子をご紹介します。

オーストリアやドイツあたりでは、クリスマスクッキーが有名なのです。

レープクーヘンと呼ばれるスパイスがきいたクッキーや、バニラキプフェルという名の、三日月型のバニラの風味の甘いクッキー、ジャムがのった丸いクッキーなどが有名です。昔から家庭で作られる伝統的なクッキーですが、お菓子屋さんにも美味しそうなクリスマスクッキーが並びます。そして、クリスマスマーケットの屋台でも、かわいらしいクッキーのセットを目にすることができるのです。美味しそうなクッキーを目にすると、ついカバンの中からお財布を取り出してしまいますね。

大きなハート型のクッキーも有名です。アイシングでさまざまな文字が描かれています。

”ICH LIEBE DICH”という文字もよく見かけますね。イッヒ リーベ ディッヒ、I LOVE YOUのことですよ!愛する方へのお土産にいかがですか? 

私のシェーンブルン宮殿でのクリスマスマーケットの思い出は、シシープンシュを飲んだことです。かつてシシーも暮らしていたこの宮殿のマーケットならではですよね。

シシーの長く美しい髪を表しているような、生クリームたっぷりの甘いプンシュでした。

***

さて、長い時間お付き合いいただきありがとうございました。

ウィーンの7つのクリスマスマーケットめぐりはいかがでしたか?

クリスマスマーケットは観光客の方だけではなく、地元の人たちにも喜ばれる嬉しいイベントです。仕事の帰り、友達同士でプンシュでも飲んで帰らない?と声を掛け合って訪れることができる、温かい交流の場でもあるのです。

今日訪れたマーケットを、順番に記しておきますね。

1シュテファン寺院 ー グラーベンを通り ー 2アムホーフと3フライウング ー フェルステルパッサージュ・ヘレンガッセを通り ー 4ホーフブルク ー 英雄広場を通り ー 5マリアテレジア広場 ー トラムに乗って ー 6市庁舎前広場 ー 地下鉄に乗って ー 7シェーンブルン宮殿

マーケットは朝10時頃から始まります。イルミネーションを楽しむには、夕方16時頃から訪れるとよいですね。オーストリアの冬はかなり冷え込みますので、是非暖かい格好でお出かけくださいね。

ABOUT ME
もわりー
もわりー
日本→ウィーン15年→現在ロンドン在住です。
書くこと・なにかをつくり出すことが好きです。

記事を読んでいただいた方をステキな旅へと案内できたら、そんな思いで書いていきます。

どうぞよろしくお願いします。
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