3) マーガレット王女 1 ー 英国王室ドラマ『ザ・クラウン』から学ぶ Season 1
英国王室ドラマ『ザ・クラウン』から学ぶエリザベス女王と家族、第3弾はマーガレット王女について紹介していきます。
1 自由で溌剌としたマーガレット王女
マーガレット王女はエリザベス女王の4歳年下の妹です。
『ザ・クラウン』を見る前に、映画 『ロイヤル・ナイト』を見ました。
第2次世界大戦の終戦を祝う日、この記念すべき日を国民と一緒にお祝いして国民の声を聞きたいというエリザベスとマーガレットは、お付きの人を従えて、夜お忍びで町に出ます。
無邪気で怖いもの知らずのマーガレットと、しっかりとマーガレットの面倒を見ようとするも、マーガレットの奔放な行動に振り回されるエリザベスが描かれています。
フィクションの話だから、マーガレットの自由奔放ぶりも大袈裟に描かれているのだろうと思いました。しかし、『ザ・クラウン』の中でも、マーガレット王女という人は、自由で社交好きな人物として描かれていました。
2 マーガレットとピーター・タウンゼントの恋愛
『ザ・クラウン』シーズン1でマーガレット王女についてまず描かれていることは、ピーター・タウンゼント氏との恋愛です。
英国空軍でパイロットとして優秀な功績を収めたタウンゼント大佐は、国王ジョージ6世に仕えていました。マーガレットとは16歳も年が離れており、当時タウンゼント大佐は結婚をしていたのです。
エリザベスは女王に即位した頃から、二人の仲を勘ぐりはじめます。そして、戴冠式でのマーガレットとタウンゼント大佐の親密な関係が、マスコミによってあらわになってしまいます。
ドラマの中では、タウンゼント氏の上着についた糸くずをマーガレットが取る姿に気づいた新聞記者が、この行動はよほど親密な仲でなければできないことだと言いました。妙に納得してしまいました。うまい表現ですよね。
その後、タウンゼントの離婚が成立しますが、エドワード8世が退位に追い込まれた過去もあり、二人の結婚には反対の声が集まりました。
王族が25歳未満で結婚する場合は、君主の許可を得なければならないという決まりがある、25歳になれば自立した立場になるから、それまで結婚を待つようにとエリザベスは説得します。
25歳になれば結婚できると信じ、タウンゼント大佐はベルギーへ赴任、二人は離れ離れになってしまいます。
そして、2年後。
25歳の誕生日を迎え、晴れてタウンゼント氏と結婚できると考えていたマーガレット。しかし、実際は25歳になっても議会と教会の承認がなければ結婚できないことを、エリザベスによって初めて告げられます。このことはしかし、エリザベスも知らされていなかったのです。
元々二人の結婚に反対する周囲は、離れて暮らせば歳の違う二人の仲も冷めるだろうと思っていただけだったのです。
妹に嘘をついたことになるエリザベスは非常に心を痛めます。そして、結局マーガレットとタウンゼント大佐は別れを決意するのです。
3 マーガレットと姉エリザベスの関係
マーガレットはその悲しみを女王であるエリザベスへぶつけました。
妹の幸せを叶えてやれないエリザベスの気持ちは、どれほどつらいものだったでしょうか。
『ザ・クラウン』の中で興味深かった点は、妹との約束を果たせないエリザベスがどうしたら良いのか悩んだ結果、パリにいるウィンザー公に電話で相談したことです。ウィンザー公は、エリザベスの苦悩はよく理解できると言った上で、王としての自分の立場も守らなければいけないと答えます。エリザベスはその言葉を聞いて、マーガレットの結婚が認められないことを彼女に伝えたのです。
不利な立場として描かれているウィンザー公ですが、たまにエリザベスの叔父として愛を感じる立場も見せるのです。実際の2人の間にも、親族としてそのようなつながりがあったなら良いなと思ってしまいます。
マーガレットとエリザベスは、このまま不仲になってしまうのかという憂いも感じましたが、そんなことはありませんでした。2人は仲良い姉妹として、信頼関係が続いていくのです。
その後、マーガレットは写真家と出会い結婚をするのですが、これもまたかなり波乱なストーリーとなります。そこでもエリザベスのマーガレットへの愛が感じられます。これはシーズン2・3で描かれているのでまた別の記事で紹介します。
シーズン2・3で描かれるマーガレット王女についての記事はこちらです。
7) マーガレット王女 2 ー 英国王室ドラマ『ザ・クラウン』から学ぶ Season 2 & 3
王室でのかなわぬ恋のお話はこの後も描かれていきます。
チャールズ皇太子もその中の一人です。けれど、ドラマの中でのエリザベス女王の態度が、マーガレットの時と比べるとチャールズの時の方が現実的で冷淡に見えました。エリザベスの女王としての立場が、若いころよりもいっそう身についたということなのでしょうか。