読書

カフェが舞台の小説 ほっこりする作品3選

Cafe-coffee
もわりー

どこの街にも、一息つける場所であるカフェがあります。大切な人と訪れる場所であったり、一人の時間を過ごす場所であったり。今回はそんなカフェが舞台になった小説、ほっこりする作品を3つ紹介したいと思います。

1 純喫茶トルンカ 八木沢里志

純喫茶トルンカは、東京台東区の下町、谷中にあります。「ネコの街」としても知られる谷中ですが、ネコに誘われるままにに路地奥へ入っていくと、喫茶店トルンカがあります。そんな、地元の人に愛されているトルンカを舞台に繰り広げられる、3つの短編が収められています。

トルンカでバイトをしている大学生修一。カフェには年末の閑散とした時間が流れるていたある日、突然訪れたお客さん千夏に、「私たち前世では恋人同士だったんです」と告げられます。そんな突拍子もないお話を訝しがる修一ですが、千夏が定期的にカフェを訪れるようになると、カフェのマスターの娘、雫のサポートもあって、二人の距離は縮まっていきます。そんな二人は本当に前世で恋人同士だったのでしょうか?

沼田がかつて恋人と通った思い出の喫茶店へ30年ぶりに訪れてみると、そこはトルンカという名前の別の喫茶店になっていました。仕事を辞めて、谷中でホテル暮らしをしている沼田。そして、トルンカの常連である20代半ばの女性、絢子との交流が始まります。かつて恋人を捨ててしまった沼田は、後悔の気持ちに苦しみ、人生をあきらめていました。けれど、マスターやトルンカで働く人たち、トルンカに集まるお客さんたちと触れ合うことによって沼田の気持ちは変わっていきます。

マスターの娘、高校生の雫には6歳離れた姉がいました。そして、大好きな姉の7回忌を前に、かつての姉の恋人、荻野と偶然再開します。再びトルンカを訪れるようになった荻野、姉への思慕が強い雫が荻野へ抱く想い、それを見守る幼馴染の浩太。雫の想いはどうなるのでしょうか。そして、トルンカという名前をつけた雫のお母さんは今どこに?

マスターがいれる極上のコーヒーの香りに包まれながら、さまざまな思いが交錯していきます。そこには、温かい時間が流れるトルンカでの物語があるのです。

2 猫目堂 水名月けい

山奥にある、赤レンガにステンドグラスがはめ込まれたカフェ猫目堂。
そこを訪れる人たちが不思議な体験をする7つの短編集。

もう会えるはずのない人に出会えたり、愛したペットに出会えたり。

オルゴール、たんぽぽ、クリスマスツリーなど、それぞれのストーリーで大切な思い出をつなげるものがそのカフェの周りにはあります。そして、そこには黒ネコもいます。
この黒ネコは、このカフェでなにを待っているのでしょうか。

死別、そして誤解を抱えたまま離れてしまった悲しいできごと。けれど、猫目堂で働くラウラとカイトとお話をしながら、大切な思い出と触れ合うことによって温かいストーリーへと生まれ変わります。

山奥の美しい情景描写とともに、忘れていた何か温かいものを思い出させてくれるような気持ちになるお話です。

3 しあわせのパン 三島有紀子

2012年に公開された、原田知世さんと大泉洋さん演じる映画『しあわせのパン』の小説版。私の大好きな本の一つです。

北海道の大自然に囲まれた場所にあるカフェマーニーには、ていねいに心を込めてパンを焼く水縞くん、北海道の食材でおいしい料理を作るりえさんがいます。

恋人と一緒に沖縄へ行く予定だった香織。けれど恋人に裏切られ、空港に着いた香織は思いつきで行き先を北海道に変更します。やさぐれた気持ちの彼女は、自然に囲まれ一人になれるような場所を希望し、新千歳空港で案内されたこのカフェマーニーにやってきます。このカフェの2階では宿泊もできるのです。自暴自棄になっていた香織ですが、カフェの周りの人たちとも触れ合い、カフェマーニーで誕生日のお祝いをしてもらいます。

カフェマーニーの近くに住む小学生の未久ちゃん。お母さんがいなくなってお父さんとの二人暮らしをする未久ちゃんは、お母さんがいなくなった現実がなかなか受け入れられません。バス停でたたずむ未久ちゃんをカフェマーニーに連れてきたりえさん。その後、お父さんと未久ちゃんは、カフェマーニーでお母さんの思い出のポタージュを飲みながら二人の時間を過ごすことになります。

神戸から寝台列車に乗ってカフェマーニーまでやってきた老夫婦。病気の奥さんを連れて、はるばる北海道へやってきた目的は、月を見ながら二人で一緒に死へと旅立つことでした。しかし、そんな夫婦を水縞くんとりえさんは放っておきません。パン作りを手伝ったり、地元の人たちと交流して数日を過ごすことになります。

カフェマーニーで過ごしたあとは、みんな、希望を持って出発していきます。

そして、この本の最後では、水縞くんとりえさんがカフェマーニーを始めることになったお話が描かれています。

北海道の美しい自然と、りえさんが大切にしている絵本『月とマーニー』が、読む人を温かい気持ちへと導いてくれます。好きなものに囲まれて生きたい、そんな気持ちにさせてくれる1冊です。

さまざまな人たちの日常生活と一緒にあるカフェ、だからこそ、そこにはいろいろなストーリーが生まれるのですね。またカフェで生まれたストーリーの紹介、続けていきたいと思います。

ABOUT ME
もわりー
もわりー
日本→ウィーン15年→現在ロンドン在住です。
書くこと・なにかをつくり出すことが好きです。

記事を読んでいただいた方をステキな旅へと案内できたら、そんな思いで書いていきます。

どうぞよろしくお願いします。
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