旅がもっと面白くなる! オーストリアの湖水地方 ザルツカンマーグートヘ行ってみよう!

ヨーロッパで山や湖などの自然を堪能できるところと聞けば、真っ先にスイスを思い浮かべる方も多いのではないですか?
はい、もちろんスイスは壮大な自然が広がる美しい国ですよね。
でも、オーストリアでも山や湖に囲まれた素晴らしい自然を体験できるところがあるのです。
今回は、ザルツカンマーグートと呼ばれるオーストリアの湖水地方についてご紹介します。
1 ザルツカンマーグートってどんなところ?
”ザルツカンマーグート”という名前は、ドイツ語に馴染みがない方にとってはなんだか覚えずらい名前ではないですか? しかも、ちょっと似た名前の地名がありますよね。
そうです、”ザルツブルグ”です。
”ザルツSalz” とはドイツ語で塩、岩塩のことです。
ザルツブルグは”岩塩の城”という意味になり、岩塩鉱から産出される塩で栄えた町でした。
では、ザルツカンマーグートも岩塩が取れるエリアなのでしょうか。
はい、現在のザルツカンマーグートの一部のエリアは、かつて岩塩鉱があり、塩の交易で賑わっていました。
ハプスブルク家がオーストリアの領土を統治していた頃、ザルツブルグの町は大司教区であり、ハプスブルク家領ではなかったのです。そのため、ザルツブルグとザルツカンマーグートという同じ岩塩に由来した名前が別々に付けられていたようです。
現在ザルツカンマーグートと呼ばれるエリアは、ザルツブルグ州を含む3つの州にまたがっています。76ほどあると言われている大小さまざまな湖と、山々に囲まれた大自然溢れる絶景が広がっています。そして、湖はそれぞれに異なる雰囲気を持っています。

そんなに広範囲なエリアなら、いったいどのように回ればよいのか困ってしまいますよね。
ウィーンから行けるの? ザルツブルグから行くの?
列車でも行けるの? バスに乗るの? レンタカーで回らないと難しい?
そのような疑問をお持ちの方の参考になるように、今回はウィーンから行く場合、ザルツブルグから行く場合の両方をご紹介したいと思います。
ではさっそく、おすすめの町や村を順番に回って行きましょう。
2 ウィーンから列車でザルツカンマーグートへ
オーストリア旅行の拠点はやはりウィーンですよね。
ではさっそく、ウィーンから列車に乗ってザルツカンマーグートへ出発です!
1)ハルシュタット Halstatt
ウィーンからハルシュタットまでは、直通列車もあるようですが、Attnang-Puchheim (アトナンープッフハイム)の駅で乗り換えて行く列車が多いです。所要時間は、3時間15分から4時間ほどです。
ハルシュタットの駅は、とても小さな田舎の駅です。
ここからハルシュタットの街中へ出るには、なんと船で湖を渡る必要があるのです。
渡し船は、列車の発着に合わせて運行しています。チケットは船の中で支払います。
現金でしか支払いができないので、あらかじめご用意くださいね。
片道4ユーロ (2025年現在)です。荷物を持って乗ることも問題ありませんよ。
電車を降りたらまず渡し船に乗るだなんて、さっそくロマンティックな旅を味わえますね。
15分ほどの船旅で、中心地 ハルシュタット マルクト (Hallstatt Markt)に到着です。

ハルシュタットの魅力は、まずなんといっても美しいハルシュタット湖でしょう。
ハルシュタット湖の北から南の長さは約7.5キロ。幅は約1.4キロ。
決して大きな湖ではありません。
この湖はクルーズも楽しむことができます。

湖南部を、中心地のマルクトから対岸のオーバートラウンまで行き、また引き返すコースで約50分です。湖の上からの眺めは素晴らしいです。
深みのあるブルーの湖をダッハシュタイン山脈の緑が囲み、さらに教会の尖塔が絵になる美しい景色が堪能できます。

次に、マルクト広場から湖沿いのゼー通り (Seestrasse)を歩いてみましょう。
途中お土産屋さんものぞいてみてくださいね。かわいい小物と並んで岩塩もありますね。
そう、ここハルシュタットは、古くから岩塩の採掘で栄えた街なのです。
湖から山の方へ歩いて行くと、ケーブルカー乗り場があります。
ケーブルカーに乗って山の上へ上がると、その先にはハルシュタットの岩塩坑があります。
湖のブルーの美しさとは一転して、薄暗いトンネルの中にある紀元前からの岩塩坑のユニークな世界を体験できます。見学者も作業着を身につけ、鉱山での労働者が使っていた滑り台を降りて行くのです。
見学はガイドツアーでのみ可能となっており、このツアーは90分かかります。
往復のケーブルカーの乗車も含めると、3時間くらいは必要と言われています。
ケーブルカーで山に上がったら、岩塩坑以外にもう一つ見どころがあります。
ハルシュタットスカイウォークです。湖の上に突き出るように360メートルの高さに設置された12メートルの長さのスロープは、まさに空中を歩いているような非日常的な体験ができますね!
https://www.salzwelten.at/en/blog/hallstatt-skywalk
他にも、山側の細い道を歩いているだけでもプチハイキングをしているような気分が味わえます。

バインハウスBeinhausと呼ばれる納骨堂に並ぶ、ペイントが施されたたくさんの頭蓋骨の姿もまた圧巻です。

ハルシュタットに宿泊して、ゆっくり観光することもおすすめです。
小さな街なので、宿泊施設は早めに予約しましょう。
下記が人気の宿泊施設です。
* ホテルグリューナーバウム Seehotel Grüner Baum
https://www.gruenerbaum.cc/en/
中心部マルクト広場の湖沿いという絶好の立地です。
*ヘリテイジホテル Heritage Hotel
https://www.hotel-hallstatt.com/en/index.html
3棟に分かれた趣のあるホテル。渡し船の船着場の近くです。
2)バート・イシュル Bad Ischl
では再び渡し船に乗ってハルシュタットの駅へ行き、列車で次の町バート・イシュルへ向かいましょう。
ハルシュタットから20分で着く列車と40分かかる列車があります。
途中乗り換えが必要になりますが、ハルシュタットの街中からバスで行くこともできます。
バート・イシュルは、他のザルツカンマーグートの街とは違って、湖の周りにある街ではなく、イシュル川とトラウン川が流れている町なのです。
“バートBad”は英語の”バスBath” 、入浴やお風呂という意味で、バート・イシュルは温泉保養地として知られています。
温泉地と言っても、日本の温泉のように裸で入る温泉のようなところはありません。
ドイツ語でテルメ Thermeと呼ばれる温泉施設には、水着を着用して入る温泉プールがあります。
バート・イシュルにも、ザルツカンマーグート・テルメがあります。
さまざまな温泉プールが楽しめる、充実したスパ施設のようなところです。
水温34℃ほどなので、冬でも屋外を泳ぐこともできます。サウナやスパトリートメントも利用できるので、1日券を購入してゆっくり過ごしてもいいですね。
また、ユーロ・テルメリゾート ホテル ロイヤルという宿泊施設にもなっているので、ここに宿泊してのんびり心と身体の癒しの時間を取るのもステキですね。
https://www.eurothermen.at/en/bad-ischl
さて、バート・イシュルと言えば、もう一つ忘れてはならないことがあります。
このバート・イシュルは、ハプスブルク家のフランツ・ヨーゼフ皇帝と皇后エリザベート(シシィ)がはじめてお見合いをした場所であり、結婚をしてからも好んで訪れていた場所なのです。
1853年8月18日バート・イシュルでフランツ・ヨーゼフの23歳のお誕生日を祝うために、エリザベートはバート・イシュルを訪れました。当初は、エリザベートの姉であるへレーネをフランツ・ヨーゼフ皇帝と結婚させるつもりで設定された顔合わせの会でした。しかし、フランツ・ヨーゼフはそこに現れたまだ15歳の妹のエリザベートに心を奪われてしまい、親の目論見に反してエリザベートと結婚することになったのです。
2人の結婚のお祝いとして、1854年カイザーヴィラKaisevilla が贈られました。
エリザベートが使っていた部屋や皇帝の書斎など、45分間のガイドツアーで中を見学することができます。
ドイツ語のツアーになりますが、日本語のテキストを借りることができます。

Gerhard BögnerによるPixabayからの画像
https://www.kaiservilla.at/index.php/en/?view=article&id=1:welcome-en&catid=2
フランツ・ヨーゼフ皇帝とシシィのお話は、下記からご覧いただけます。
知ると面白いハプスブルク家 13) フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリザベート(シシィ)
トラウン川沿いの遊歩道を散策していると、この町ならではの優雅な雰囲気を感じることができます。1832年創業の皇室も御用達だった老舗カフェ ツァウナーZaunerでひとやすみしてもいいですね。オーストリアの伝統的なスタイルのカフェで、エレガントな時間を体感してみてはいかがでしょう。
https://zauner.at/en/?srsltid=AfmBOopDvICS_PbBXMHGuGqlI5FW-daycC4jvtTs7vXXW6X-dgune2p2
バード・イシュルは、オペレッタ『メリー・ウィドウ』の作曲家であるフランツ・レハールが晩年を過ごした家 レハールヴィラ Leharvillaもあります。
毎年7月・8月にはレハールフェスティバルと題したオペレッタの祭が開かれます。
緑に囲まれたクアパークの中にある優美なコングレス&テアターハウスで、オペレッタ鑑賞もまたステキですよね。

Onkel RamirezによるPixabayからの画像
バート・イシュルには、ハルシュタットよりも多く宿泊施設があります。
この町に滞在しながら、日帰りでハルシュタットを訪問してもいいですね。
3)ゴーザウ湖 Goseusee
もう少し美しい湖の自然を満喫したいという方には、ゴーザウ湖まで足を伸ばすことをおすすめします。
バート・イシュルからバスで1時間ほど、ハルシュタットから行く場合は、一度乗り換えが必要になります。
ハルシュタット湖に比べると小さな湖ですが、なんとも言えず神秘的な雰囲気がある湖なのです。

湖の前にあるホテル・レストラン ガストホフ ゴーザウでランチを楽しみ、湖の周りを散歩してみましょう。

ここからケーブルカーに乗って、ハイキングを楽しむこともできますよ。
3 ザルツブルグからバスでザルツカンマーグートへ
ザルツカンマーグートへ行くには、ウィーンからよりもザルツブルグからの方が近いのです。
列車で行く場合は、ウィーンから行く時と同様にハルシュタットやバート・イシュルへのアクセスが便利です。
そして、ザルツブルクからはバスで気軽にザルツカンマーグートへ行くこともできるのです。
では、次にザルツブルグの駅からバスに乗って、また別の湖沿いの街へ行ってみましょう。
1) ザンクト・ギルゲン St.Gilgen
ザルツブルグの駅前からバスに乗って50分ほどで、ザンクト・ギルゲンに到着です。
ここはヴォルフガング湖 Wolfgangsee沿いの街です。
ヴォルフガング湖は、ザルツカンマーグートの中で一番観光客が集まる人気の湖ではないでしょうか。ヴォルフガング湖沿いの街は、ザンクト・ギルゲンの他にシュトローブルStroblとザンクト・ヴォルグガングSt.Wolfgangがあります。
ザルツブルグからザルツカンマーグートを訪れる場合は、まずこのザンクト・ギルゲンに出てから、船でザンクト・ヴォルフガングへ渡る順路が私のお気に入りです。
ザンクト・ギルゲンはモーツアルトの母親アンナの生家があり、またモーツアルトのお姉さんナンネルが嫁いだ先としても知られています。
アンナの生家はMoHA モーツアルトハウス ザンクト・ギルゲンとしてミュージアムになっています。また、結婚式やセミナーなどのイベント会場としても使われています。
また、ザンクト・ギルゲンではケーブルカーに乗って、ツヴェルファーホルンという山へ上ることができます。11分の乗車で、ヴォルフガング湖から1522メートルの高さまで連れて行ってくれます。そこから湖を見下ろす光景は素晴らしいですよ。

夏はそこからハイキングを、冬はスキーを楽しむことができます。

では次に、ザンクト・ギルゲンから船に乗ってザンクト・ヴォルフガングの街まで行きましょう。
2)ザンクト・ヴォルフガング St.Wolfgang
ヴォルフガング湖は、ハルシュタット湖とは違った雰囲気があります。
ヴォルフガング湖は、開放的で明るいリゾート地のような趣があると個人的には思います。
ザンクト・ギルゲンから約45分のクルーズを楽しんで、ザンクト・ヴォルフガングに到着です。

ザンクト・ヴォルフガングは、ヴォルフガング湖沿いの街では一番にぎやかなところです。
町の中心部は、マルクトになります。
ベランダにかけられた花壇が印象的なかわいい建物が並ぶ小道を歩いてみたり、お土産やさんをのぞいてみたり、リゾート気分を満喫しましょう。

湖岸のレストランでお食事をすることも楽しいですね。
湖岸沿いにあるホテル白馬亭 Hotel Im Weissen Rösslは、オペレッタや映画『白馬亭にて Im Weissen Rössl』に使われたホテルで、特にオーストリアでは有名なホテルです。

https://www.weissesroessl.at/en
尖塔が目立つ白壁の教会もこの町のシンボルとなっています。

この町には、マルクト以外にももう一つ観光客を魅了している場所があります。
ヴォルフガング湖を見下ろすように聳え立つシャーフベルクの山です。
ここには、シャーフベルグバーンと呼ばれる登山電車で上ることができます。
そうです、あの映画『サウンド・オブ・ミュージック』のロケ地となった場所です。

35分かけて1783メートルの高さまで登ります。

頂上からは、ヴォルフガング湖だけではなく、近くの湖も見渡せます。
頂上では霧が立ちこめることも多く、まるで雲の上から湖を眺めているような気分を味わえます。気温はかなり下がりますので、暖かい上着をお忘れなくお持ちください。


頂上には、山頂ホテル Hotel Schafgerbspitzeもあり、ここに宿泊することもできます。
宿泊はしなくても、レストランでランチやお茶を楽しむことができます。
このシャーフベルグの山は、登山ハイキングを楽しむこともできるのです。
片道5−6時間かかりますので、片道歩き、片道登山列車を利用してもいいですね。もちろん、往復登山列車を利用する方もたくさんいます(私もそうです!)。
シャーフベルグの登山電車の入り口は、マルクトから徒歩だと15分ほどかかります。
バスも船も、マルクトの隣にシャーフベルグバーン駅がありますので、こちらを利用しましょう。
シャーフベルグに上る場合は、ザンクト・ヴォルフガングに宿泊することをオススメします。レンタカーなどで移動時間に制約がない場合は他の町へ移動しても良いですが、バスも船も時間が限られているので、移動が難しいかもしれません。
宿泊施設は、マルクト周辺やシャーフベルグ駅周辺にあります。
ザルツブルグからバスで行く場合は、途中で一回乗り換えが必要です。
3)モント湖、アッター湖、フシュル湖
そのほかにも、ザルツカンマーグートには魅力的な湖岸の町がいくつもあります。
下記一部ご紹介します。
*モント湖 Mondsee
モント Mondとはドイツ語で月を意味します。
その名の通り、モント湖は三日月型をしています。
この町には、映画『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ大佐とマリアの結婚式が行われた教会があり、カラフルな建物が印象的な街です。
ザンクト・ギルゲンからバスで20分弱です。
*アッター湖 Attersee
ザルツカンマーグートの中で一番大きな湖です。モント湖と並ぶように位置しています。
湖岸で泳いだり、ハイキングを楽しんだり、自然を満喫したい方にオススメです。
またここはオーストリアの画家 グスタフ・クリムトが過ごしたことでも有名なところで、アッター湖の景色が描かれている作品も残されています。
グスタフ・クリムトセンターもあり、クリムトに関する展示も行われています。
ザルツブルグからローカル列車でアクセスできます。途中乗り換えが必要です。
*フシュル湖 Fuschl am See
ザルツブルグから一番近い湖で、バスで40分ほどとアクセスが便利です。
ラグジュアリーな気分が味わえるホテルがあり、湖岸のホテルに泊まってのんびり静かに過ごしたい方にはオススメです。
ローズウッド シュロス フシュル Rosewood Schloss Fuschl
https://www.rosewoodhotels.com/en/schloss-fuschl-salzburg
シュロスSchlossはお城という意味で、その名の通りゴージャスなホテルです。
バス停からは15分ほど歩きます。
アラベラ ヤッグドホーフ リゾート アム フシュルゼー
Arabella Jagdhof Resort am Fuschlsee
https://www.marriott.com/en-us/hotels/szgjf-arabella-jagdhof-resort-am-fuschlsee-a-tribute-portfolio-hotel/photos/
マリオット系のホテルです。
***
ザンクト・ヴォルフガングとバート・イシュルの間は、バスで30分強でアクセスできますので、2でご紹介したハルシュタット、バート・イシュルと、3でご紹介したヴォルフガング湖の観光を、バスと列車を使って一緒に訪れることももちろん可能です。
ウィーンからザルツカンマーグート経由でザルツブルグへ(逆も可能)移動ということもできますね。
4 ザルツブルグから日帰り観光
ザルツカンマーグートは行ってみたいけれど、時間もそれほどないし、荷物を持って移動するのは大変という方には、日帰りバスツアーがオススメです。
ザルツブルグから日本語ガイドが案内するバスツアーがあります!
午後2時から4時間の半日コースになります。
ザルツカンマーグート 日本語ツアー by Panorama Tours
https://www.panoramatours.com/en/salzburg/tour/japanese-salzkammergut-tour-j7-609
ザルツブルグのミラベル広場を出発し、ヴォルフガング湖やモント湖を訪れます。
ヴォルフガング湖のクルーズも楽しめますよ。
Panorama Toursでは、他にも英語ガイドの案内になりますが、ハルシュタットへ行くツアーや、サウンド・オブ・ミュージックのロケ地を回るツアーなどもあります。

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列車やバスなど公共交通機関を使ってザルツカンマーグートを観光する場合、バスは特に本数が限られているので、事前にタイムテーブルを調べて行動してくださいね。
また、レンタカーでご自身で運転して各地を訪問したり、専用車を手配して自由に回ると、荷物の移動に煩わされることなく効率的に回れますね。
夏のザルツカンマーグートは自然やオーストリアの可愛い田舎町を堪能できるオーストリアの観光地の中でもイチオシの場所です。
是非訪れてみてくださいね。
また別の顔をもつイギリスの湖水地方も是非のぞいてみてください!
旅がもっと面白くなる! イギリス湖水地方 ピーターラビット作者 ビアトリクス・ポターの想い